ロングトレイル Ⅱ

2021/08/29(日)

両門の頭が単調な尾根道で唯一のビューポイントだった。崖下の遥かに東沢渓谷が流れ、対岸には木賊山に延びる鶏冠尾根が高さを競う景観を期待していた。残念だが先を急ごう。再び平凡な樹林帯の道になり9:54富士見(2373m)、富士見とは名ばかり、周囲は木々で囲まれ何も見えない。ここは直進方向にロープが張られ直角に右折する。次のポイント水源分岐までは標準90分の区間、時計を見て到着時刻を記憶する。急な下りを軽快に飛ばすが、帰りの急登を思うと気は重い。再び登り返して唐突に見覚えのある場所に、クラブで6年前に毛木平から登った水源分岐だ。この区間、ほぼ倍速の50分で歩いた。もう山頂は近い。甲武信ヶ岳は毛木平から水源経由で登れば手軽なハイキングコースだ。直後に子連れのハイカーが下って来て慌ててマスクを着ける。30人ほどで賑わう山頂に何故か感動はなく、復路の長さ(ゴールは写真の遥か彼方)を思う不安の方が大きい。相変わらずガスは切れないが、積乱雲は無いから夕立の心配はない。ただ脚が壊れないで残り半分を持ち堪えてくれと祈る。気が急いて、おにぎり2個とお茶だけで靴紐を結び直す。再び水源分岐を境に出会う人も居ない静かな山域に戻る。往路で単独3人と2人組の合計5人とすれ違ったが、皆一泊二日で縦走を楽しんでいる。対して日帰り往復となるとトレーニングの域を超えて修行僧だ。ただ黙々と無我の境地で歩く。14:21国師のタルまで帰って来た。回収したデポの水は冷たく旨い。あんパン2個を食べて最後の大仕事に掛かる。余力は残した積りだったが・・。2時間の苦行の末に、夕刻の誰も居ない国師ヶ岳の山頂で大きな達成感に包まれた。
甲武信11:30~大弛峠17:00 5+30 TX

ロングトレイル Ⅰ

2021/08/29(日)

週一のトレーニングは酷暑との戦いで先週は何時もの里山(539m)で熱中症を経験した。今日は自治会の会議がマンボウで延期になり時間が空いたので、うだる暑さの下界から逃れるため3時に起きて、車で上がれる日本最高点の大弛峠(2365m)に向かった。計画は甲武信ヶ岳まで往復20kmを12時間で歩く。コースは奥秩父の主脈縦走路でハードなアップダウンが連続する。だから午前中に甲武信ヶ岳に、午後から国師ヶ岳と一日で2座に登山する感じになる。ザックは通常の夏山装備に水5L(国師のタルと2224m点に各1Lデポ)と食料3食、ツェルトなどビバークセット。他に、万が一甲武信小屋にお世話になる場合のインナーシーツとシュラフカバーなど総重量は13kgになった。5:35早朝の冷たい空気の中をTシャツ1枚と気合を纏いスタートする。ヘッドランプなしで帰って来れるか?長い一日が始まった。課題は帰路の消耗した体力での国師ヶ岳の登り返しにある。この体力温存のペース配分が重要な鍵になるが、長丁場ゆえに往路で時間を稼ぎたい思いも交錯する。さながらマラソンランナーの心理状態かと思う。だがマラソンと違う途中棄権ができない山では、絶対引き返し時刻を12時と決めていた。天気は夢の庭園まで視界が有ったが、その後ガスが湧いて終日取れなかった。展望は残念だが暑さが抑えられ有り難い。予定通り8:28中間点の東梓、9:12両門の頭(2263m)晴れていれば大展望も白いガスの中、代わりに足元のイワギキョウ(写真)が慰めてくれた。少しペース上げないとヤバイか?
大弛峠05:35~甲武信11:05 5+30

只木さんとヤナギラン

2021/08/01(日)

最終日になった子供ラジオ体操を終えて7時に自宅を出発する。甲府の予想最高気温は36℃で、昼過ぎから雷雨の予報がでている。今日も午後から仕事があって自由時間は半日だけど、週一のトレーニングは休みたくない。休めば脚力は直ぐに落ちて取り戻すのが大変だから。かと言って何時もの里山では熱中症で倒れるかも。だから少しでも標高がある大菩薩の登山口から丸川峠をピストンする約3時間の計画にした。山小屋丸川荘の二代目小屋番として40年間頑張って来て、先月引退した只木さんの自宅に約束の8時に着く。毎年恒例の野菜も自宅届けだと楽だ。今日はザックが軽いから、目標タイムを80分とする。歩き出しの沢沿いは涼しい風が心地よかったが、尾根に乗ってからは風がなく、最初の急登を上がって平らになる所(スタートから30分)で堪らず給水と5分の休憩を取る。何時もなら休まず1ピッチで登るが、暑さに対する弱さは体質的なものと自覚しているから無理はしない。それにしても急な尾根だな。ここを只木さんは何度、何往復した事か。40年間を週一回としても2000回以上になる。それも背負子にビールやプロパンを積んで歩荷だからな。下りも空き缶やゴミだってある。時には怪我した登山者を背負って下りた事も。それに比べたら自分なんか軟弱で足元にも及ばない。丸川峠では只木さんが大切に保護しているヤナギランが元気な姿で迎えてくれた。来週あたりが見頃になるか。
丸川口08:20~丸川峠09:40 1+20
丸川峠10:15~丸川口11:15 1+00 FT