身近にある幸せ Ⅱ

2005/09/23(金)

台風17号の接近で、お彼岸の連休は荒天予報で山も空も諦めていたが、朝の予報が、やや改善傾向に変った。躊躇は時間の無駄だ、とにかく増富温泉まで出掛けてみる。山に近づくにつれ陽が差してきて、気持ちも明るくなる。思った通り、みずがき山荘の駐車場も空いていて、ゆっくりと身支度を整え、人気の名山が身近に有る幸せに感謝しながら、静かな森の中を歩き始める。富士見小屋を過ぎると木々の合間に青空に突き立つ岩峰群、瑞牆山(2230m)が顔を見せる。天鳥川を溯行して岩に取り付いていた頃を、懐かしく思い出しながら、今はザイルもハンマーもいらない、軽いザックで一般道を行く。写真は、頂上直下にある花崗岩の大ヤスリ岩。人口登攀ルート(岩を穿ちボルトが打ち込まれている)が1本あるが難易度は4級(5段階)、高度な技術と体力が要求される。
登山口08:40~瑞牆山11:00 2+20
瑞牆山12:00~登山口13:50 1+50

クリティカル11ミニッツ

2005/09/19(月)

航空機事故の多くが離陸時の3分と着陸時の8分、この11分間に起こっている。対地高度が低い為に、回復操作が困難で重大事故に繋がるケースも多い。今年多発しているグライダー事故に於いても同様で、悲惨な結末に心が痛む。この 「危険な11分間」 に対する不安を払拭させる為にも、定期的なトレーニングによる技量の維持が必要である。最も効率が良いのが、タッチアンドゴー T/G (一度も止まらずに場周経路を回る 連続離着陸訓練)。写真は、滑走路と平行に水平飛行(対地高度300m)する左小窓から、この後、管制塔と交信して、直ちに着陸態勢に移る。今日は1時間で10回のT/Gを行った。技量と同時に集中力の持続が要求される訓練、お陰で夜は倒れ込んで眠った。
双葉13:35~双葉14:35 1+00

甲斐駒ヶ岳 巡礼フライト

2005/09/18(日)

昔から山は信仰の対象として崇められ、多くの行者が、神が宿るとされる山頂を目指した。 時には、急峻で険しい岩場で滑落する者もあり、命を賭けた厳しい修行登山が行なわれていた。そんな神々の山に労する事なく登ろうとは、不謹慎な行為だろうか。松本空港から甲斐駒ヶ岳(2967m)まで、距離50km標高差2300mを、20分で飛ぶ。山岳フライトで一番怖いのが乱気流、常に逃げ道を確保しながら慎重に間合いを詰めて行く。山頂には晴天の連休とあって、50人程の登山者がこちらを見上げていて、時折カメラのストロボも光る。神の怒りに触れぬ様に、静かにゆっくり旋回しよう。写真は、北西側3150mから、右のこぶが摩利支天、背後遠くに甲府盆地。白い花崗岩の岩肌に貼り付いたハイマツの緑が美しい。
双葉10:35~松本11:05 0+30
松本12:30~双葉13:40 1+10

人生最高の贈り物

2005/09/13(火)

自動車の免許と違い、パイロット免許には書換えがない。その代わり定期的(自家用は1年毎)に航空身体検査(健康診断)が義務付けられている。要するに苦労してつかんだ自分の翼(ライセンス)も、健康を損なうと資格喪失と言う結果になって仕舞う訳だ。9月7日、台風14号の大雨の中を東京まで出向き、受診した検査結果が1週間後の今日届いた。いつもの様にドキドキしながら開封すると、適合の文字が記入された検査データと、有効期間1年の証明カードが入っていた。写真は、名古屋にフライトの操縦席(長野県飯田市付近高度2500m)でストレス解消中の私。いつまでも健康で飛び続ける事が、自分自身に贈る人生最高の贈り物だと思う。

我が青春の八ヶ岳 Ⅱ

2005/09/04(日)

2週続きで八ヶ岳に来たのは、先週登った編笠山から見た阿弥陀が、ごつい顔をして「おい!たまには登ってこい!」と僕を挑発したからだ。連日の残業の疲れで5時半起床が精一杯、台風14号の接近も気になるので、アプローチが短い美濃戸(長野県側)から入山する。南沢ルートは、夜道も月あかりで歩ける程に通い慣れた道だが、イマイチ調子が悪く、行者小屋まで2時間を費やし、稜線にはガスが湧き始めてしまう。10分だけ休み先を急ぐが中岳のコルでは視界は500mに、最後の岩場で喘ぎ目標タイムに25分遅れで誰も居ないピークに立った。写真は、阿弥陀岳(2805m)1時間早ければ360度の展望が楽しめたのだが、空も暗く遭難者を偲ぶ沢山の墓標が、独りぼっちの山頂を一層寂しくしている。
美濃戸07:30~阿弥陀10:55 3+25
阿弥陀11:15~美濃戸14:00 2+45